- 人間を含む生物は、「意識的」にも「無意識的」にも、自己フィードバック機能を生まれたときから有しています。
- 恒常性、ホメオスタシスとは、生物のもつ重要な性質のひとつで、生体の内部や外部の環境の変化にかかわらず、生体の状態が一定に保たれるという性質、あるいはその状態のことをいいます。
前の記事ではベイトソンの著作から、人を含む生物は自己フィードバックによる制御を自然に身につけていることを紹介しました。
フィードバックの仕組みを知るためには、生物のもつフィードバックを知ることが近道になります。
フィードバックの仕組みを知れば、効果的なフィードバックをするための方法が見えてきます。
フィードバックの定義って? ~ 所長と助手の会話
なんだか難しい話になりましたねぇ。。。
フィードバックなんて、ただ相手に「ダメ出し」すればいいと思っていたのに、「工学的」とか「自己フィードバックシステム」とか、頭が痛くなるような単語がガンガン出てきましたよ。。
まあ、フィードバック・ラボの定義によるフィードバックの説明を初めて聞いた人はみんな目を丸くして、きょとんとしますよ。
でもね、私はあえてここから説明をスタートさせていきたいんですよ。フィードバックの基本的な考え方、モデルを理解すれば、それを日常生活で活用することはたやすいことです。
これは、我々フィードバック・ラボのスローガンである「すべての人がフィードバックの達人になるために貢献する」を達成するために必要なんですよ。
崇高なスローガンですね。この職場でやっていけるかしら。。
でも、難しい話もありましたけど、エアコンがどのように目標温度に室温を近づけるかとか、自転車に乗った人が一定速度を保つこととか、わかりやすい例もありましたね。
その辺は所長の話術を評価しますよ(えらそうに!)
ありがとう。それも私の話術に対する一種のフィードバックですね。
さて、自己フィードバックシステムの工学的なモデルについて話しましたので、次は人間を含む生物の自己フィードバックシステムについてお話しします。
生物のもつ自己フィードバック制御機能
人間を含む生物など「精神をもつ存在」が生来有している自己フィードバックシステムを研究した結果、工学的自己フィードバックが発達したという歴史を紹介しました。
ここでは生物のもつ自己フィードバックシステムについてお話ししましょう。
グレゴリー・ベイトソンが定義したように、生物など「精神をもつ存在」を考えた場合、「精神過程は再帰的(またはそれ以上に複雑な)決定の連鎖を必要とする」といえます。
精神は「意識的」にも「無意識的」にも、自己フィードバック機能による成長や制御の機能を有しています。
「意識的」な自己フィードバック機能は、さきほど話した自転車の速度を一定に保つ行動などがあります。
ここでは「無意識的」な生命のフィードバック機能の事例を紹介します。
恒常性、ホメオスタシス
生命現象においては、フィードバックは恒常性(こうじょうせい)の維持、学習等 において非常に重要な役割を果たしています。
恒常性、ホメオスタシスとは、生物のもつ重要な性質のひとつで、生体の内部や外部の環境の変化にかかわらず、生体の状態が一定に保たれるという性質、あるいはその状態のことをいいます。
恒常性の保たれる範囲は、体温や血圧、体液の浸透圧やpHなどをはじめ、病原微生物の排除、傷の修復など生体機能全般に及びます。
恒常性が保たれるためには、これらが変化したとき、それを元に戻そうとする作用、すなわち、生じた変化を打ち消す向きの変化を生む働きが存在しなければなりません。
この作用を主に司っているのが自律神経系や内分泌系、それに免疫系です。
恒常性の例
恒常性の例として挙げられるのは体温調節です。
恒温動物である鳥類や哺乳動物は37℃付近で最も活動しやすいため、この温度に体温を保とうとします。
これより体温が高い場合は汗をかいたり、皮膚の血管の拡張で体温を下げようとします。また、体温が低い場合はふるえや発熱によって体温を上げようとします。
まとめ
蒸気機関車などの機械に対して自己フィードバック制御を行うことは難しかったのに、生物は自然に自己フィードバック機能を有していること、これを理解して活用することがコミュニケーションでのフィードバックをマスターする秘訣となります。
- 人間を含む生物は、「意識的」にも「無意識的」にも、自己フィードバック機能を生まれたときから有しています。
- 恒常性、ホメオスタシスとは、生物のもつ重要な性質のひとつで、生体の内部や外部の環境の変化にかかわらず、生体の状態が一定に保たれるという性質、あるいはその状態のことをいいます。