コーチングで大切なのは、クライアントの情報収集。
「愛」のある「アイ・メッセージ」をマスターすれば、「他者フィードバックの壁」を軽減してクライアントの成長をサポートできます。
フィードバックが伝わらない「他者フィードバックの壁」
前の記事で「他者フィードバックの壁」について説明しました。
なんか身にしみますよね。
フィードバックを受けるクライアントとフィードバックをするコーチがいて、お互いにクライアントの理想像を見ているつもりなのに、別のイメージを見ていることがあるんですね。
これがフィードバックが伝わらない、うざったがられる、嫌がられる原因の一つです。
コーチが「ダメ出し」じゃなくクライアントの成長を目指してフィードバックしていても、クライアントが受け取らない場合は「他者フィードバックの壁」のケースがあります。
どうしたら「他者フィードバックの壁」を乗り越えて、クライアントのためになるフィードバックができるようになるのでしょうか?
大切なのはクライアントの情報収集
これまでもGEOモデルとニューロロジカルレベルを使うと、他者へのフィードバックが効果的になるとお伝えしました。
GEOモデルでクライアントの目的、現状とギャップを明確にします。
またクライアントの現状と目的を達成した理想像(あるべき姿)をニューロロジカルレベルで分析します。
これらをフィードバックコーチングの「情報収集」といいます。
適切な情報収集を行うことができるコーチは、クライアントのあるべき姿、理想像をうまく聴き出すことができるので、クライアントとコーチが見ている理想像は共通のものとなります。
なるほど、優秀なコーチは「情報収集」のスキルに長けているんですね。
GEOモデルとニューロロジカルレベルは、NLPというコミュニケーション心理学の概念です。
私たちがコーチとして、クライアントに効果的なフィードバックをするためには、たとえばNLPやコーチングの本を読んで勉強したり、教育機関で学ぶことができます。
私はNLPを中心にコミュニケーションを学んだので、NLPマスタープラクティショナーとNLPコーチングという資格を取得していて、コミュニケーションとコーチングのとスキルを身につけています。
適切な情報収集を行うことが、クライアントの目的を達成するためのコーチとして必要なスキルです。
ロバート・ディルツ氏のNLPコーチングの集大成といえる本です。ニューロロジカルレベルをどのようにコーチングに活用したらよいかが理論的にかつわかりやすく説明されています。
私のことを話す~愛のあるアイ・メッセージ
もうひとつ、コーチからクライアントへフィードバックする際に、抵抗感を軽くできるテクニックがありますので伝授します。
「アイ・メッセージ」です。
やっぱりコーチが「愛」をもってクライアントにメッセージを伝えることが大切なんですね。
共感できます!
「愛」をもってクライアントにメッセージを送るという考え方は好きですよ。
でも「愛」じゃなくて、「I(アイ)」です。
「アイ・メッセージ(I Message)」です。
「アイ」は「LOVE」の「愛」ではなく、英語で「私」の意味の「I」だったんですか。「愛」のあるメッセージの方がいい感じだったんですけど。
アイ・メッセージは英語で「I Message」と書きます。
コーチからクライアントへのフィードバックの伝え方として
- 私は、このように見えました(視覚)
- 私は、このように聞こえました(聴覚)
- 私は、このように感じました(体の感覚)
といったように、「私(I)にとって」どのように見えて、どのように聞こえて、どのように感じたかを伝えます。
視覚、聴覚、体の感覚は、私たちの五感と対応していることを別の記事でお伝えしました。
人は五感で感知した情報を脳に送って、言葉や知識をつかって情報に意味づけをしていきます。
そしてこの意味づけの仕組み、どのような行動や反応をするかの仕組みは、人それぞれ違っています。
視覚、聴覚、体の感覚は、クライアントのゴール設定やギャップの確認に使うと非常に効果的です。
アイ・メッセージで伝えることのメリットは、コーチとクライアントがそれぞれの感覚で感知した情報の意味づけが異なっていることを、フィードバックの言葉で「私」を明示することで、コーチが見て、聴いて、感じたことを伝えるという文脈となり「他者フィードバックの壁」のミスコミュニケーションを軽減できることです。
英語では必ず主語に「I」が入りますので常に「アイ・メッセージ」になるのですが、特に主語があいまいな日本語、日本人は、誰が話をしているかを混同しがちですので注意しておきたいです。
Aさん:あなたの服装が派手に見えますね
Bさん:(誰が言ってる?友達?職場のみんな?)もっと地味な服にします。
この場合、Aさんが主語を省略しているので、Bさんは誰が「派手」といっているのかがわかりません。
「職場のみんなに言われている?」のように疑心暗鬼になることがあります。
本当はAさん一人がBさんの服装を「派手」だと見ているにも関わらず、Bさんは多くの人に「派手」と思われていると勘違いしてしまい、これからは地味な服を着ると答えています。
カラフルな服が好きなBさんは、自分の好きな服装を着なくなって、なんだかかわいそうです。
これもミスコミュニケーション、「他者フィードバックの壁」の一例です。
Aさん:私には、あなたの服装が派手にみえますね
Bさん:Aさんにはそう見えるんですね。私はカラフルな柄が好きだから気にしません。
この場合、Aさんは主語「私」を伝えているので、Bさん「派手」だと思っているのはAさんだけだとわかっています。
この会話でわかることは、お互いのファッションについてのあるべき姿、好み、目的が異なると言うことです。
- Aさん:派手な服よりも落ち着いた服が好き
- Bさん:カラフルな服装が好き
両者のファッションの好みが異なる、まさに「他者フィードバックの壁」です。
この場合、BさんはAさんからの言葉、フィードバックに対して異なる意見を伝えやすいです。
- 「Aさんにはそう見える」
- 「他の人はそうは思っていない」
- 「私はカラフルな服装が好きだからAさんのフィードバックは気にしません」
このように考えられれば、たとえAさんとBさんのファッションについてのあるべき姿が異なっていても、特定の一人がそのように思っているだけなので、Bさんはあまり気にならないのではないでしょうか。
「他者フィードバックの壁」を乗り越えよう!
「アイ・メッセージ」って意識したことありませんでした。
やっぱり日本人、いや日本で生まれ育ったアルパカですから、主語はしょっちゅう省略していますね。
アルパカは南米大陸原産かと思っていました。
たしかに小学校の時、友達の一人に「あなたの服装へんだよ」って言われたときに、クラスのみんなに「へんだよ」って言われていると思って凹んだことがあります。
アレって、あの友達だけがそう思ったのかもしれませんよね。
おかげでお気に入りだったウール100%のセーターを着なくなりました。
あなたはアルパカ100%じゃないですか!
ともあれ、いろいろな形で「他者フィードバックの壁」があることを知ってもらうのは大切です。
これからはアルパッカさんの言葉がクライアントにもっと伝わるようになりますよ。
「愛」のある「アイ・メッセージ」を使って、「他者フィードバックの壁」を乗り越えていきましょう!
まとめ
コーチングで大切なのは、クライアントの情報収集。
「愛」のある「アイ・メッセージ」をマスターすれば、「他者フィードバックの壁」を軽減してクライアントの成長をサポートできます。