「ダメ出し」でなく、相手の成長を考えて他者フィードバックしたら良いというのは理解しました。
でも、何を伝えたらいいのかよくわからないです。
他人にフィードバックを行う「他者フィードバック」では、相手に何を伝えたらいいかよくわからないこともありがちだと思います。
今日は相手にフィードバックするときに何を伝えたらいいか、ニューロロジカルレベルを使った分類を説明します。
この記事の内容をまとめると以下のようになります。
- 見える情報×良かった点=積極的に伝えて良い
- 見える情報×さらなる改善点=伝えて良い
- 見えない情報×良かった点=伝えて良い
- 見えない情報×さらなる改善点=伝え方に工夫が必要
ニューロロジカルレベル
復習です。
ニューロロジカルレベルでは、人の意識を環境、行動、能力、信念・価値観、自己認識、スピリチュアルの6段階に区別化します。
ニューロロジカルレベルについては以下の記事を参考にしてください。
それではニューロロジカルレベルの各レベルについて、前の図の下側から順番に説明していきます。
(1) 環境(Where, When)
環境とは、いま自分がいる場所や周りの様子としてとらえられます。
(2) 行動(What)
行動とは、自分が何をしているか、どんな行動をとっているかということです。
(3) 能力(How)
能力とは、行動を起こすために、自分がどのような能力を発揮しているかということです。
(4) 信念・価値観(Why)
価値観とは、自分にとって価値があると認めるもの、大切にしていることです。
信念とは、自分が「意識的」、「無意識的」に信じていることです。
信念・価値観は、能力を発揮して行動をするかどうかの動機や、自分に対する許可になると言われています。
「~すべき」、「~すべきでない」というような考え方が一例です。
(5) 自己認識(Who)
自己認識とは、自分が何者で、どんな役割をもっているかということです。
(6) スピリチュアル
スピリチュアルとは、自分という一人の意識を超えた意識レベルを指します。
自分の存在が所属するグループにどのような影響を与えるか、どのような影響を与えられるかなどを考えていきます。
「見える情報」と「見えない情報」
ニューロロジカルレベルを使って、他者にフィードバックするときにどのような情報を伝えると伝えやすいかお話しします。
ニューロロジカルレベル
下のニューロロジカルレベルの図を見てください。
「他者にフィードバックする情報」について、見える情報と見えない情報として分類したものです。
この場合、ニューロロジカルレベルでいう「環境」、「行動」、「能力」の一部は他人が見ても見えますよね。
- 環境:家、オフィス、グラウンドなどの環境
- 行動:走る、仕事をする、英語で話すなどの行動
- 見える能力:100メートルを10秒で走る能力、英語で会話する能力など
でも、「能力」でも外部から見えないものもあります。
- 見えない能力:状況を分析する能力、相手に共感する能力など
また、人の「信念・価値観」、「自己認識」、「スピリチュアル」は外から見えない場合が多いです。
- 信念・価値観:必ず成功するという信念、努力は報われるという価値観
- 自己認識:カウンセラー、教師、部長という自己認識
- スピリチュアル:所属する会社、自治体など
「見える情報」は、外部からフィードバックを伝える人からすれば外から見て情報を集めやすいですし、フィードバックを受ける人も外からみて具体的に認識できる情報は理解しやすいです。
対して、「見えない情報」は、外部からフィードバックを伝える人からすれば情報が集めにくいですし、フィードバックを受ける人も具体的に認識できない情報を伝えられても困るかもしれません。
フィードバックされる情報として、「見える情報」と「見えない情報」は以下のような関係があります。
「見える情報」–>認識しやすい
「見えない情報」–>認識しづらい
具体的に認識できる情報によるフィードバックは、フィードバックを受ける人と外からフィードバックする人で共通の認識を得やすいです。
「視覚」、「聴覚」、「体の感覚」
ここで以前お話しした人間の「視覚」、「聴覚」、「体の感覚」で考えてみましょう。
具体的に認識できる情報は、他人同士が共通に認識できる感覚は「視覚」と「聴覚」です。
他人同士でも「視覚」でいえば「共通に見えるもの」、「聴覚」で言えば「共通に聞こえる言葉や音」はあります。
対して、お互いが具体的に認識できない情報もあります。
「体の感覚」は「他人同士が共通に認識できる感覚」ではありません。
他人が何を感じているかは具体的にはわかりませんよね。
- 視覚:お互いに共通なもの、イメージを見ることができる
- 聴覚:お互いに共通の言葉、音を聴くことができる
- 体の感覚:お互いが体で感じる感覚は、お互い自身のもので、共通の感覚では無い
人間の感覚については、以下を参考にしてください。
なるほど、他者にフィードバックする情報を「ニューロロジカルレベル」で分類して、さらに「見える情報」と「見えない情報」に分けると、フィードバックを受ける人も外からフィードバックする人も共通の視覚的、聴覚的な ものに対して伝えることができるのですね。
「良かった点」と「改善点」
他者にフィードバックするときの内容は、「ダメ出し」ではなく、その人の目標に対して「良かった点」そして「改善点」を伝えるとお話ししました。
人は他人から何か言われたとき、受け取りやすい内容と反発しがちな内容があります。
その人にとって、「良かった点」を伝えられる場合、その内容は受け取りやすいのではないでしょうか。
また、「改善点」を伝えられる場合、外部からフィードバックする人がどんなに言葉に注意しても、「ダメ出し」されたように感じてしまうことがあります。
フィードバックされる「良かった点」と「改善点」は、フィードバックを受ける人の受け取りやすさを考えると以下の関係があります。
「良かった点」–>受け取りやすい
「改善点」–>受け取りづらい(「ダメ出し」と感じる)
確かに!「良かった点」を伝えられると、ほめられた感じがして受け取りやすそうです。
でも、「改善点」って注意されたりダメ出しされているように感じるかもしれませんね。
どんなに言葉づかいに気をつけても、「改善点」は相手がネガティブな意味で受け取る可能性はありますね。
他者フィードバックを伝えるための4つのポイント
これまで話した「フィードバックする情報」と「伝える内容」は、
- 「見える情報」と「見えない情報」
- 「良かった点」と「改善点」
となります。
この分類を意識すると、フィードバックの伝える内容を4×4のマトリックスで分類することができます。
ニューロロジカルレベルとの関係を示したのが以下の図です。
ニューロロジカルレベルの記載を省いて、もう少しシンプルに整理しましょう。
上の表に書かれた内容を理解すると、相手に対する他者フィードバックを伝えやすくなります。
ぜひお試しください!
まとめ
この記事をまとめます。
- 見える情報×良かった点=積極的に伝えて良い
- 見える情報×さらなる改善点=伝えて良い
- 見えない情報×良かった点=伝えて良い
- 見えない情報×さらなる改善点=伝え方に工夫が必要