フィードバック

私とあなたで見えるものは同じ?~他者フィードバックの壁とは

他者フィードバックの壁とは

私とあなたで見えるものは同じ?

カピバァラ所長

例えば目の前にリンゴがあるとします。

カピバァラ所長

私とアルパッカさんで同じものを見ていると思いますか?

アルパッカさん

同じリンゴをみているなら、当然同じものを見ていると思います。

カピバァラ所長

それはその通り。言い換えましょう。

目の前にあるリンゴを見、私とアルパッカさんは同じことを考えて、同じような感情を持ちますか?

アルパッカさん

ん?どういう意味でしょう?

カピバァラ所長

例えば、実家が青森のリンゴ農家のカピバァラは、このリンゴを見て、「このリンゴの種類は王林だな」とか「久しぶりに青森に帰って『せんべい汁』たべてえなぁ」とか考えて、懐かしい気持ちになるかもしれません。

アルパッカさん

ふむふむ、ありそうな話ですね。

っていうか、カピバァラ所長は青森出身なんですか?

カピバァラ所長

実はね。。まあ、話を続けましょう。

でも、おなかがすいているアルパッカさんは、このリンゴを見て「うまそ~」、「腹減った~」なんて考えて、よだれが出ておなかがグ~ッとなるかもしれません。

アルパッカさん

否定したいけど、いまリンゴをイメージしたら、おなかがすいていて同じ反応しているので否定できません。

難しい話はいったん置いておいて、リンゴでも食べておやつにしませんか?

カピバァラ所長

そうですね。リンゴとアップルパイありますので、おやつにしましょう。

アルパッカさん

イエェェイィ!

ダメ元で言ってみるものですね!

みんな違っている「視覚、聴覚、体の感覚」

カピバァラ所長

以前、以下の記事で「視覚、聴覚、体の感覚」について説明しました。

以下のリンクを参考にしてください。

あなたのなりたい自分は?~「GEOモデル」で具体的な目標設定しよう この記事のまとめ 「GEOモデル」は目標を達成するためのコミュニケーションモデルです。 ・G: ゴール(Goal)またはギャップ...

基本的な考え方を復習しましょう。

私たちが世界を認識するための感覚機能のうち、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五種類の分類を五感といいます。

これらのうち、触覚、味覚、嗅覚を体の感覚としてまとめると、人間には視覚、聴覚、体の感覚の3種類の感覚があるということができます。

  • 視覚:何が見えていますか?
  • 聴覚:何が聞こえていますか?
  • 体の感覚:どんな匂い、味、感触を感じていますか?
カピバァラ所長

人の感覚は人それぞれです。

同じもの、たとえばリンゴを見ていたとしても、同じ部分やポイントを見ている(視覚)とは限りません。

同じリンゴを見ているとしても、思い浮かぶ言葉(聴覚)が同じとは限りません

同じリンゴを見ているとしても、体に起きる感覚(体の感覚)が同じとは限りません。

これが人の感覚の特徴です。

私とあなたは、同じものを見て、聴いて、感じているとは限らない。

他者フィードバックの壁

人は五感で感知した情報を脳に送って、言葉や知識をつかって情報に意味づけをしていきます。

フィードバック、コーチングの場面では、視覚、聴覚、体の感覚を、クライアントのゴール設定やギャップの確認に使うことができます。

  • 「過去」の出来事で、何を見て、何を聞いて、何を感じたか。
  • 「現在」、何を見て、何を聞いて、何を感じているか。
  • 「未来」のゴールを達成するときに、何をみて、何を聞いて、何を感じているのか。

これらを視覚によってイメージし、言葉によって言語化し、体の感覚を探っていくことで、様々な情報が得られます。

カピバァラ所長

前に説明した自己フィードバックモデルは以下のような図で示されていました。

自己フィードバックモデル
自己フィードバックモデル
フィードバック魔法_モデル
フィードバックは成長の魔法~マスターするためのモデルを学ぶ この記事のまとめ フィードバックは相手に伝えるだけではなく、自分自身に伝える「自己フィードバック」という考え方があります。 フィ...

まだ目標を達成していない現在「視覚、聴覚、体の感覚」と、未来に目標を達成している時を想像したとき「視覚、聴覚、体の感覚」を比べることで、人の意識は自分の目標にに到達しやすくなります。

カピバァラ所長

他者フィードバックモデルは以下のちょっとカラフルな図で説明できます。

他者フィードバックの壁
他者フィードバックモデルの壁

現在の自己フィードバックをする赤のAさんと、目標・理想の姿として青のAさんが未来に存在しています。

その自己フィードバックモデルの外側に、外部から現在の赤いAさんに他者フィードバックする緑のBさんが登場しています。

自己フィードバックする赤のAさん、外部から他者フィードバックする緑のBさんは、お互いに目標・理想の姿である青のAさんを見ながらフィードバックしています。

いわゆるコーチングのように他人にフィードバックする場合は上の図のような関係になります。

以下にそれぞれのフィードバックをまとめます。

Aさんの自己フィードバック
  • ①自分(赤いAさん)の理想である青いAさんを認識する
  • ②現状の自分(赤いAさん)に自己フィードバックする
Bさんの他者フィードバック
  • ①他者(赤いAさん)の理想である青いAさんを、外部からBさんの感覚で認識する
  • ②現状の他者(赤いAさん)に外部から他者フィードバックする

ここで「他者フィードバックの壁」が存在することがわかります。

実は、未来の理想の姿(青いAさん)は、現在の自分(赤いAさん)も外部の緑のBさんも、正確にはよくわかりません。

さらに、現在の自分(赤いAさん)と外部の緑のBさんが、同じ未来の理想の姿(青いAさん)を見て、聴いて、感じているかはわかりません。

なぜ他者フィードバックの壁が問題か

さっきのリンゴの話と同じです。

同じリンゴ(未来の理想の姿・青いAさん)を見ていても、現在の自分(赤いAさん)も外部の緑のBさんも、同じものを見て、聴いて、感じている訳ではないのです。

だから、それぞれがフィードバックしようと思っても、違う理想の姿を視ていた場合、適切なフィードバックは難しくなります。

自己フィードバックする現在の自分(赤いAさん)は、違う理想の姿を見ている外部の緑のBさんからフィードバックを受けても、ちんぷんかんぷんで受け取ることができなくなります。

ここに、クライアント本人(赤いAさん)コーチ(緑のBさん)が、クライアントの未来の姿(青いAさん)を共有できていないことによるコミュニケーションの壁が存在します。

コミュニケーションの壁

クライアント本人(赤いAさん)は、違う理想像を見ながらちんぷんかんぷんなフィードバックをするコーチ(緑のBさん)のいうことを受け入れられません。

コーチ(緑のBさん)は、よかれと思ってクライアント(赤いAさん)にフィードバックしているのですが、クライアントが受け取らないため気分を害してしまいます。

これがフィードバックを受けるクライアント、フィードバックをするコーチの間で、コミュニケーションがうまくいかなくなる「壁」の原因の一つです。

次の記事では、コミュニケーションの壁が起きづらくなるためのメッセージの伝え方を説明します。

まとめ

この記事をまとめます。