フィードバックは相手に伝えるだけではなく、自分自身に伝える「自己フィードバック」という考え方があります。
フィードバックは「ダメ出し」ではなく、「望ましい状態」を見つけ出す成長の魔法です。
「GEOモデル」を使って自分の「望ましい状態」を設定し、「自己フィードバック」を行うことで成長が加速します。
「自己フィードバックモデル」は、「GEOモデル」と「ニューロロジカルレベル」を組み合わせて、時間の経過(タイムライン)を考慮したコミュニケーションモデルです。
成長の魔法~自己フィードバック
いよいよフィードバックを活用したコーチングの考え方を教えていただけるのですね♪
うなぎ屋さんの100年注ぎ足してきた秘伝のタレのような、3000年前にエジプトのピラミッドに隠された神秘の宝玉のような、そんな「魔法のフィードバック」を伝授していただけるんですよね♪
いきなりハードル上げてくれましたね(笑)説明しづらいです。
はい、フィードバック・ラボの「成長の魔法」と呼ばれる「自己フィードバック」をご説明します。
ちなみにエジプト文明は紀元前3000年くらいといわれているので、いまから5000年くらい前といわれています。
3000年という数字しか覚えていなかったわ。紀元前でしたか。。
(ちょっと恥ずかしい・・・)
フィードバックは相手に伝えるもの?
ところでフィードバックって、必ず「伝える相手」が必要だと思いますか?
そうですね、フィードバックって「ダメ出し」だから、必ず相手に伝えますよね。♪
「ダメ出し」じゃないんですけどね。
コミュニケーション、コーチングなどで使われるフィードバックという言葉は、「相手に伝える」という意味で捉えられることが多いと思います。
でも、これまで話してきた
「フィードバックの言語的な意味づけ」、
「工学的な制御テクニックによるフィードバックの定義」、
「生物のもつ恒常性というフィードバック機能」、
「人間のフィードバックによる成長・学習と失敗の関係」、
がありました。
ところでこれまでのフィードバックの話の中で、フィードバックの対象となるもの、エアコンなどの機械、人間の学習、生物の恒常性などの話しって、自分以外の他の人から、なにかフィードバックされていましたか?
???
いわれてみれば、これまで説明されてきたフィードバックの例って、フィードバックの対象となる「自分」以外から、何の情報もフィードバックされていませんでしたね。
あれ?フィードバックって「相手に伝える」ものじゃないんですか?
いわゆる私たちが日常のコミュニケーションやクライアントに対するコーチングなどで使うフィードバックの意味では、基本的にフィードバックを伝える相手が存在しています。
その点では「フィードバックは相手に伝えるもの」という理解で基本的にあっています。
それを前提とした上で、フィードバック・ラボでは相手に行うフィードバックを効果的に行うために、まずは自然界に存在し理論が構築されている自己フィードバックの仕組みを理解して、その仕組みを十二分に活用することを出発点にしています。
フィードバックは「ダメ出し」でしたっけ?
えぇ?そうなると、いままで説明していただいた「自己フィードバック」って、「自分にダメ出し」するって事ですか?
・・・あ、そういえば、「自分にダメ出し」することってよくありますね。。
大学の試験で落第点とって「あぁ、サークルの飲み会なんか行かずに勉強すれば大学の試験で落第点とらなかったのに」とか、夏に向けて薄着になるのにダイエットサボっていて「友達とケーキバイキングなんか行かずにダイエットしていれば夏休みにおしゃれな洋服着れたのに」とか、確かに「自分にダメ出し」することはよくありました。
高校時代にもう少し真面目に勉強して、もう少しランク上の大学に入れていたら、こんな「フィードバック・ラボ」なんて聞いたこともない会社に就職せずにすんで、東京は六本木の一流外資系企業のオフィスで「できるキャリアウーマン」になれたかもしれないなんて、何度も「自分にダメ出し」していました。後の祭りなんですけどね。
「自分にダメ出し」してると、結果的に自己嫌悪に陥るんですよね。。。
それでついつい、やけ酒、やけ食いになって、ますます太る。。。
(あぁあぁあぁ・・・・思い出したくもない暗黒の日々。。。)
「ダメ出し」から「望ましい状態」へ
「自分にダメ出し」はそれくらいにしておきましょう。
だんだん気分が滅入ってきますよね。
それにしても「自分にダメ出し」する才能は素晴らしいですね。
ちょっとものの見方を変えれば、自己フィードバックの達人になれる可能性がありますよ!
どういうことですか?
(あぁあぁあぁ・・・・自己嫌悪ぉぉぉ。。。)
アルパッカさんの数多くの自己嫌悪ネタは「自分にダメ出し」ではありますが、実は問題点、課題がすでにわかっているということは、「望ましい状態」「手に入れたい目標・ゴール」がほぼ見えているということなんです!
「問題点」を「望ましい状態」にとらえなおす魔法
「問題点」を「望ましい状態」にとらえなおすためには、以前説明した「GEOモデル」を使うとわかりやすいです。
ちょっと復習しましょう。
「GEO」は、目標を効果的に手に入れるための重要な以下の3つの要素の頭文字をとったものです。
・G: ゴール(Goal)またはギャップ(Gap)
・E: エビデンス(Evidence)
・O: オペレーション(Operation)
GEOモデルを図示すると以下のようになります。
GEOモデルを活用すると、「問題点」を「望ましい状態」に転換する魔法をマスターできますよ!
アルパッカさんの「自分にダメ出し」から、そもそもどんな状態を手に入れたかったか、「望ましい状態」を聴き取ってみましょう。
ポイントは以下の通りです。
GEOモデルで示されている「ギャップ(問題点)」の裏側には必ず「ゴール(目的、望ましい状態)」があります。
魔法1:「大学の試験」問題のとらえなおし
「あぁ、サークルの飲み会なんか行かずに勉強すれば大学の試験で落第点とらなかったのに」
「問題点」は「試験で落第点をとってしまったこと」ですよね。
「望ましい状態」は、「試験で合格点をとること」だと聞き取りました。
それとともにもうひとつの「望ましい状態」があることがわかります。
それは「サークルの飲み会で楽しい時間を過ごすこと」です。
アルパッカさんは二つの望ましい状態
- 「試験で合格点をとること」
- 「サークルの飲み会で楽しい時間を過ごすこと」
の優先順位を自分なりに考えて、
- まずは「試験で合格点をとる」ために勉強し、
- 試験前の飲み会は断って「次の飲み会で楽しい時間を過ごす」
という選択をとることができる可能性がありました。
「良い例」の場合、試験前の飲み会は参加できませんが、別の飲み会で楽しい時間を過ごせる可能性がありましたので、二つの「望ましい状態」を手に入れることができたかもしれません。
仮に「サークルの飲み会で楽しい時間を過ごす」方を選択したとしても、二つの「望ましい状態」を明確にした上で、自分で優先順位の判断をした場合には「試験で落第点をとった」としても納得できるのではないでしょうか。
魔法2:「夏のダイエット」問題のとらえなおし
「友達とケーキバイキングなんか行かずにダイエットしていれば夏休みにおしゃれな洋服着れたのに」
「問題点」は「太って夏休みにおしゃれな洋服を着れなかったこと」ですよね。
「望ましい状態」は、「ダイエットしておしゃれな洋服を着て夏休みを楽しむこと」だと聞き取りました。
さきほどの「魔法1」と同様に、もうひとつの「望ましい状態」があることがわかります。
それは「友達とケーキバイキングに行くこと」です。
後者には「おいしいケーキを食べること」、「友達と楽しい時間を過ごすこと」という二つのベネフィットがありますよね。
アルパッカさんは二つの望ましい状態
- 「ダイエットしておしゃれな洋服を着て夏休みを楽しむこと」
- 「友達とケーキバイキングに行くこと」
の優先順位を自分なりに考えて、
- まずは食事や運動など計画を立てて「ダイエットすること」
- ダイエット計画に沿って「ケーキバイキングでは適正量食べること」
という選択をとったとしたら、二つの「望ましい状態」を手に入れることができたかもしれません。
よくあるケースは、二つの「望ましい状態」がぶつかって、優先順位がよくわからなくなることです。
コーチングで「望ましい状態」、「それを止めているギャップ(問題点)」を明確にすることで、目標が達成しやすくなります。
魔法3:「大学入試」問題と「キャリアウーマン」問題のとらえなおし
高校時代にもう少し真面目に勉強して、もう少しランク上の大学に入れていたら、こんな「フィードバック・ラボ」なんて聞いたこともない会社に就職せずにすんで、東京は六本木の一流外資系企業のオフィスで「できるキャリアウーマン」になれたかもしれない
このケースは、時間軸(タイムライン)が長くて、二つの「問題点」と「望ましい状態」が連続してつながっています。
一つ目の「問題点」は「ランク上の大学に行けなかったこと」です。
それに対する「望ましい状態」は「志望するランク上の大学に入学すること」です。
この「望ましい状態」を手に入れるには、目標を具体的に設定してしっかりと受験勉強することが必要だったのかもしれません。
二つ目の「問題点」は就職の時に「希望の会社に入れなかったこと」です。
それに対する「望ましい状態」は「一流外資系企業のできるキャリアウーマンになること」です。
こちらも「望ましい状態」を手に入れるためには、目標を具体的に設定して就職活動をする必要があったのだと思います。
この事例はちょっと複雑です。
この場合、GEOモデルでいう目標(ゴール)を設定する未来を2段階で考えるというコーチングの進め方があります。
大学入試を目標に設定することを最初の未来とし、大学卒業後の就職の目標を設定することを第二の未来とすることで、長期間にわたる継続的な成長過程を自己フィードバックモデルで考えていくことができます。
このような時系列、タイムラインを意識すると具体的な目標を設定しやすくなります。
GEOモデルによる「望ましい状態」の設定
さきほどのアルパッカさんの「自分に対するダメ出し」から「問題点」をみつけて「望ましい状態」を明確にすることは、GEOモデルを活用する際にとても効果的です。
あぁあぁあぁ・・・・自己嫌悪ぉぉぉ。。。
私の過去のトラウマを心の奥底からほじくり出されて、まだ治っていない傷口に塩と消毒用アルコールを塗ったくるような魔法でしたね。。。
泣けてきました。。。つらいっす。
過去の出来事は変えられませんからね。
ご愁傷様です。
救いがないコメントですね・・・・
だから、いまになって過去のことを後悔しないように、GEOモデルの「現状」から「未来」の「ゴール(目的、望ましい状態)」を手に入れるために、コーチングでいろいろ分析するんですよ。
あ、なるほど!
これからはGEOモデルで未来の目標を考えて行動計画を立てればいいのですね!
自己フィードバックモデル
これから「成長の魔法」と呼ばれている効果的な自己フィードバックを行うための考え方を説明していきます。
効果的な自己フィードバックの考え方をマスターすれば、相手にも効果的なフィードバックを伝えることができるようになります。
自己フィードバックのモデルは、すでに紹介した「GEOモデル」と「ニューロロジカルレベル」を組み合わせて、時間の経過(タイムライン)を考慮したコミュニケーションモデルです。
自己フィードバックモデルを概念図で示してみましょう。
上の概念図は「自己フィードバックモデル」を示したものです。
前に示したGEOモデルの現状とゴールにニューロロジカルレベルで示した人物が記載されています。
この人物がゴールを達成するために、ニューロロジカルレベルで分析しつつゴールと現状のギャップを埋めていくというアプローチです。
ニューロロジカルレベルを分析の基礎とすることで各レベルごとの分析が可能となり、効果的にゴールを達成することを止めているギャップを埋めていくことができます。
まとめ
この記事をまとめます。
フィードバックは相手に伝えるだけではなく、自分自身に伝える「自己フィードバック」という考え方があります。
フィードバックは「ダメ出し」ではなく、「望ましい状態」を見つけ出す成長の魔法です。
「GEOモデル」を使って自分の「望ましい状態」を設定し、「自己フィードバック」を行うことで成長が加速します。
「自己フィードバックモデル」は、「GEOモデル」と「ニューロロジカルレベル」を組み合わせて、時間の経過(タイムライン)を考慮したコミュニケーションモデルです。
次の記事では、「成長の魔法」の実践として「自己フィードバックモデルを用いたコーチングの考え方」を説明していきます。